天国への階段 ―いじめ―
そんなはずはなかった。
わざと海結があたしをおとしいれるなんて、崎谷をたぶらかすなんて、いま冷静に考えると、そんなことあるわけがなかった。
だって海結が勉強をするのは、お母さんに負担をかけないように、高校や大学を特待生や奨学金で受けるためだし、海結と遠山良也は、はたから見ても本当に仲の良いカップルだったのだ。
でも、すがりたかった。
そう言う麗子の言葉を信じて、悪いのは海結。
いじめが始まったのは、あたしのせいじゃない、って思いたかった。
だから、本当に海結を憎んだ。