天国への階段 ―いじめ―
本の中やいろいろなところで外国を目にするけど、いまだに海の向こうに国があるなんて思えない。
違う言葉を喋って、違う見た目をしていて、違うものを食べる。
そんな世界、話に聞いても、自分の目で見てみないといまいち理解できない。
国内だってそうだ。
都道府県で区切られた他のところに、私は行ったことがない。
この町からも、ろくに出たことがない。
そんな私は、この町が、この中学が、すべてだった。
私の世界はここにしかなかった。