天国への階段 ―いじめ―
しばらくのコール音のあと、誰かが電話に出た。
「はい、名城でございます。
ただいま、旦那様と奥様はお出かけになられていますが、どちら様でしょう?」
麗子の家のお手伝いさんだと思われる人が出て、少したじろく。
うまく言葉が出てこなくて、戸惑った。
「あ、あの……」
まりあに優しく背中をたたかれ、安心する。
「麗子さんのクラスメイトの、斉藤と申します……。
麗子さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、麗子様のお友達でいらっしゃいましたか!
麗子様はまだお帰りになっておりません。まだ学校にいると思われますが……」
「そうなんですか!
ありがとうございました」
電話を切ろうとすると、呼びとめられた。
「ちょっと待ってください!」
あわててケータイをもう一度耳に当てる。