天国への階段 ―いじめ―



「受験の邪魔だろう」
 


吉木はさも心配そうにそう言うけれど、内心は、そんなこと一ミリたりとも思っていないはずだ。


いじめのことで他の教師や親に何かを言われるのを怖がって、私を追い出そうとしているだけ。


北台で日常茶飯事のことだとはいえ、「いじめ」とは厄介なものだ。



吉木はやはり、いじめられている生徒より自分の事が大切なのだ。
仮面を剥ぎ取ればそんなところだろう。
 


仮面を剥ぎ取れるくらいの言葉を投げつけてやろうかと思ったが、やめた。


「大丈夫です。
じゃあ、失礼します」
 


そう言って、早々と職員室を出て行った。





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