天国への階段 ―いじめ―
万里香を強く見つめた。
万里香は一瞬、戸惑ったように目を泳がせたが、すぐに麗子の方を向き直った。
ついこの前までは、麗子の方を見るのではなく、俯くだけだったのに…。
万里香も、潔くなってきた。
きっと、私への罪悪感が薄れてきたのだ。
時は怖い。人を簡単に流してしまう。
その、揺らいではいけない気持ちさえも……時は流す。
万里香はもう友達じゃない。
親友だったけれど、それはもう過去なのだ。
さようなら、万里香。
そう、心の中でそっと呟いた。
私はすぐに、天国に辿り着くだろう。
そうしたら、こんな汚い世界とも、麗子たちともおさらばだ。