天国への階段 ―いじめ―
「海結は?
仲良い子、いるの?」
“海結”。
少し頬が赤くなったのが、自分でもわかる。
目頭が熱くなった。
相島さんの行動すべてに、私は泣きたくなる。
普通の会話。普通の動作。
相島さんがしているのは、あくまでも“普通”のことだけれど、その“普通”のことが、私にはない。
“普通”ってすごいな……と、少し感じた。
仲良い子――か。
「――もう…」
俯いて足元を見ていたが、顔を上げ、相島さんの瞳を真っ直ぐに見た。
「いなくなっちゃった……」