天国への階段 ―いじめ―



水道の蛇口から一気に水が出てくる。


少し口に含んで出すと、
血が混じった真っ赤な水が流れた。


赤い水をぼんやりと見つめると、
気持ちが虚ろになってくる。


すべてがどうでもよくて、
立つ気力が、歩く気力が、呼吸をする気力が――……生きる気力が、もう、消え失せていく。


血は、人を惑わすんじゃないかと思う。


殺人鬼は、多くの血を見るから、また殺人を犯すのだろうか。殺して、殺して、殺しても……どこか物足りなくて。

ぼんやりとそんなことを思った。




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