涙は華のように
零蒔さん―…。

「私 雷哉さんに遊ばれてたんです。」

思い出すとまた涙が溢れてくる。

「それから 恋をするのが怖くて…」

ふと 大きな手が私の涙を拭う。

「涙を流してるお前は華みたいで綺麗だな。」

零蒔さんは微笑んで言った。

「って 俺に似合わないセリフだったな。」

そう優しく私に笑いかけた。

「私の名前“涙華”ってついたのは
 私が赤ちゃんのとき涙を流す私が
 華みたいだったから親がつけたんです。」

本当はあんまり自分の名前が好きじゃなかった。
だって名前に“涙”が入ってるなんて…

けど 零蒔さんがそう言ってくれたから、
優しく私の名前を呼んでくれるから、
この名前も悪くないなって思うようになった。


私はもう零蒔さんのことを
本当に好きになっていた。
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