涙は華のように
「おぅ 零蒔。
 緋琉羽とはどうだ?」

雷哉さんはわざと聞いた。

「緋琉羽とはもうなにもない。」

えっ?

今まで俯いていたけど
思わず顔を上げてしまった。

そこで見た零蒔さんの表情は
とても優しかった。

「涙華ちゃん俺たちんところ戻ってきてよ。」

亜嗣汰くんがあの可愛い笑顔でいう。

「えっと あの…」

「涙華 俺らはお前が必要だ。
 こい。」

私の足は自然と零蒔さんたちの方に向かっていた。

けど 雷哉さんが私の腕を掴んで止めた。

「行くな 涙華」

「らい…やさん… ごめんなさい。
 やっぱり 私は零蒔さんじゃないと
 駄目なの。
 亜嗣汰くんの笑顔がないと安心できないの。」

「涙華ちゃん…」

「ごめんなさい ごめんな…さい…」

どうしても駄目。
零蒔さんじゃないと
たった一週間会わなかっただけで
心臓が砕けそうなほど苦しかった。

「そっか… 分かった。
 零蒔! 涙華泣かせんなよ!!」

「涙華を泣かせるのが俺の役目だ。」

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