澤木先生のサイアクな日曜日
クリニックの玄関にたどり着いた集団は、全員がグレーのベストにグレーのスカート。
見たところ、女子高生のようだった。
・・・女子高生、かなあ。
うん、胸ポケットに高伊高校の校章がついてるから、女子高生でいい・・・と思う。
澤木が判断に迷ったのには、理由があった。
全員、金髪の巻き髪。
全員、特に目に重点を置いたド派手なメイク。
俗に言うギャルメイクなのだが、流行に疎い澤木はあまりの化粧の濃さに
「よさこいをやってる人たちかな」
と一瞬思ってしまったのだ。
運ばれているのを含めて、全部で6人。
待合室に雨水を滴らせながら入ってくると、待合室の野戦病院度は一気に上昇した。
運ばれている女子高生は、かろうじて意識はあるようだが、蒼白な顔でぐったりしている。
女子高生だろうがよさこいグループの人だろうが、患者には変わりない。
澤木はその女子高生の診察を、すぐに行なうことにした。
「すみませんが、そのまま処置室まで運んでもらえますか」
クリニックにはこんな事態に備えて担架も用意されているが、処置室まではあと10歩程度だ。そのまま運んでもらったほうが、早いだろう。
女子高生たちは、友人の突然の昏倒にショックを隠しきれず、かなりのハイテンションでそれぞれが喋っている。
「パねぇ重いっすけど」
「ゴリラ豪雨、マジ神っす」
「ウチら、雨も滴るいい女。ナンチテ」
「てかウチら土足じゃね?」
「ヤベ、マヂ受けるし」