S的？遊園地

「全く、お前の頭は空っぽか？それで良く大学受かったな。」

私が入ったドアより一つ奥のドアを開けながら平畠さんが言う。
どうやら私は、お化け役のメイク室に入ってしまったらしい。

「すみません。」

私の言葉が終わらないうちに、平畠さんが口を開く。

「ここはホラーハウスだぞ？お化けがいるのは当たり前だろうが！まったく、足でまとい以外の何者でもないな！」

内心、カチンと来たが勝手に間違えて勝手に驚いた私も悪い。
部屋に入り、素直に謝る私を平畠さんは容赦なく睨みつける。

「まあまあ、平畠君。そんなに怒んないの。」

止まない怒号に、松本さんが間に入ってくれた。

「それよりも、何日か前から第２セクションの扉の開きが悪いのよねぇ。」

松本さんは少し大袈裟に首を傾げた。
その言葉に反応した平畠さんは、部屋の棚の上に置いてあった道具箱と懐中電灯を掴んだ。

「俺、ちょっと見てきます。」

そう言うと、脇目もふらず部屋を出ていってしまった。