S的？遊園地
次の瞬間、軽い衝撃に目を開けると人の背中が見えた。
顔を確かめると、それは平畠さんだった。
ふと手元を見ると、私が運んでいたスープの中身が無くなっている。
ハッとして平畠さんを見ると、服が濡れているのがハッキリ分かった。

「平畠さ―。」

その声を制するように私の顔の前に手をかざすと、平畠さんはくるりと背を向けた。

「お客様、大変失礼いたしました。お洋服等にかかってはいませんでしょうか？」

平畠さんの背中の向こうには女性の二人組が座っていた。

「たっ、大変申し訳ありません！」

私は、その言葉に続く様に急いで頭を下げた。
女性は一瞬怒った様な表情を見せたが、平畠さんの言葉に表情を和らげた。

「大丈夫みたいです。」

テーブルに少し掛かったスープを布巾で拭きながら、平畠さんはお客様に言葉を続けている。
私は状況を上手くのみ込めず、その場に立ち尽くしてしまった。
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