S的？遊園地

「もう、私は良いから。彩はどう？バイト。」

私は何とか話題を変えようと彩に話しをふった。
その言葉に彩は少し考える素振りを見せた。

「う～ん。順調、かな？右田さん、色々教えてくれるし。」

私は、右田さんの優しそうな顔を思い出し、頷いた。

「うん、右田さん優しそうだもん。」

彩も、笑顔で頷いている。

(右田さんが仕事を教えてくれていたら、私みたいにグルグル考える事も無かっただろうな。)

平穏に働ける彩が羨ましく感じる。

「優しいよ。ミスがあったらフォローしてくれるし、コツを教えてくれたりとか。凄く頼り甲斐があって、安心。」

何か、彩の方が恋をしている様な口ぶりだ。
段々と頬が赤く染まっていく。

「結構、スタッフのみんなの裏話とか話してくれるよ。」

そう言えば、彩は噂話や裏話が好きだった。
さっきまでの恋する表情はどこへやら、彩は急にイキイキと目を輝かせる。

(この、女の子らしいコロコロ変わる表情もカワイイんだけどね)

私は半ば、彼氏の様な気分になった。

「へぇ。裏話。」

バイト中は、平畠さん以外の人と話す機会がほとんど無いのでスタッフの名前は良く分からなかった。
と言うか、一番接している平畠さんが一番分からないのだが...。

「『ホラーハウスのお化け役の松本さんは、昔劇団に所属していた』とか、『マネージャーの奥さんは凄い美人』とか。」

彩は思い出しながら、右田さんに聞いた裏話を色々と話してくれた。