S的?遊園地
「ほら可奈子ちゃんって、いつも平畠さんと一緒でしょ?仕事中に話しかけ辛いっていうか、怒られそうだから。」

斎藤さんはそう言うと、肩をすくめておどける様な仕草を見せた。

「確かに。」

私も、同調する様に頷く。

「平畠さんって大学院生だし、心理学専攻だし。何かこころの中を見透かされている様で苦手なんだよね。」

少しすねた様な表情の斎藤さんを尻目に、私は平畠さんの新しい情報に驚いた。
『大学院生』『心理学』
勉強が出来そうなイメージはあったが、ホラーハウスの一件から勝手に電気系かと思い込んでいた。

「初めて知りました。」

驚きで、真顔で返事をする。
そんな私を見て、斎藤さんは意外そうな顔をした。

「そうなの?あんなに一緒にいるし、今までのバイトのコよりも親しげに話していたから、色々知ってるかと思った。」

何をどう見たらそう言う風に見えるのだろう。
私は、平畠さんの鋭い視線を思い出した。
『親しい』?ないない。それどころか、日に日に分からなくなっていくのに...。
私は静かに首を振った。
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