S的?遊園地
その男の人は遊園地の中をグングンん進んで行く。
私は、その背中をやっと追いかけている様な状態だ。
そのスピードに付いて行くのが精一杯で、私は軽く息が上がり出していた。

「あ、あの。」

聞きたい事は沢山あった。
名も名乗られていないし、どこに行くのかも聞いていない。
それに、理不尽に怒鳴られている...気がする。

そもそもこの男の人は誰だ?

「あの、お名前は?」

小走りでその人の横に並び、恐る恐る話し掛ける。

「マネージャーの話聞いてなかったのか?」

(マネージャーの話?…やっぱり、この人が教育係の人なのかな?)
私は歩きながら、さっきの朝礼の様子を思い出した。
(確か『安浦さんは平畠君に仕事を教えてもらって』って言ってたな。と、いう事は...)

「えっと…平畠さん…ですか?」

探るように言葉を続けた。
しかしその人は、私の言葉に何の反応もせずグングン歩き続ける。
(無視?)
聞こえなかったのかとも思ったが、割と声を張ったつもりだ。
それに、かすかにため息も聞こえた。
(なんなの?この人!明らかに無視だよね?)
さっきはビックリしていたから気付かなかったが、命令口調だし、人の歩くスピード考えていないし、無視するし…。
その態度に、私は内心ムッとした。
しかし、仮にも初対面。
私は、それの気持ちを必死に抑える。
私は、気を取り直すように、質問を代えることにした。


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