S的?遊園地
(えっと...確か、彩はメリーゴーランドって言っていたな…。)

「あの、私は何をするんですか?」

彩と右田さんのやりとりを思い出し、無理矢理笑顔をつくって聞いてみた。
しかし、やはり答えは帰ってこない。
この至近距離で、声量で聞こえていないはずは無い。
立て続けに無視をされて、私は流石に頭にきてしまった。

この人は絶対に、わざと無視をしている。

私は、無言で歩き続ける男の人の前に走り出ると、行く手を塞ぐように立ちはだかった。
その行動に、ようやく歩みを止める。
すっと私を見据えると、眉をひそめた。

「邪魔だ。」

怪訝な顔の迫力に負けそうになるが、私はキッと真っ直ぐ彼の顔を見つめ返した。

「人が話し掛けているのに…無視しなくても良いじゃないですか!」

無視した上に『邪魔だ』と言われ、私は思わず大きな声を出してしまった。
男性は、私の言葉に顔色一つ変えず腕を組む。
黒いサラサラの髪に黒縁のメガネ、整った鼻と口…小顔で身長も高い。
(うわ。ちょっとカッコいい。)
始めて真っ直ぐ見たその人の容姿に、私は一瞬見惚れてしまった。

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