S的?遊園地
聞きたいけど、聞くのが怖い。
私はそんなジレンマの間を行ったり来たりしていた。

「もう終わりか?」

沈黙に耐え兼ねた様に、平畠さんが口を開く。
(どうしよう。やっぱり聞くのが怖い。)
私はギュッと目をつぶった。

「はい。」

自分でも驚く程頼りない声が出た。

ハッキリ『お前の事は何とも思っていない』と言われたら、立ち直れそうにない。
これから平常心を保って、一緒に仕事をする自身が無かった。
(だったら、知らないままでも...。)

「おい。嘘はつくな。」

平畠さんの声が、私の思考を遮る。
顔を上げると、平畠さんが真っ直ぐ私を見つめている。
私の考えている事は、全て見透かされている様だ。

「お前が聞きたい事には全部答えるから、ちゃんと言え。」

命令口調とは裏腹の、平畠さんとは思えない言葉に、私は勇気を奮い立たせた。



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