S的？遊園地

「人の話を聞いていないのはどっちだ？」

突然の厳しい声に、私はハッと我に返った。
眉間にシワを寄せながら続ける。

「まず、俺は『平畠』だ。スタッフ全員の自己紹介を聞いていなかったのか？名札も付いているだろう。」

やはり、この男の人は平畠さんだった。
確かに左胸の名札には、ちゃんと『平畠』と書いてあった。

「どこに行くかと言ったな？仕事は、マネージャーが『安浦は入場ゲートを教えて貰え』と言ったはずだ。」

（マネージャーそんな事言ってたっけ？）
息付く間もなく喋り続ける平畠さんに頭がついていかず、私は呆然と聞いていた。

「浮かれて人の話を聞いていなかったにも関わらず、自分の話は聞けだと？お前こそ失礼も甚だしい。本当にセンター試験受かって大学に行ける程の頭があるのか？」

わざとらしく大きな溜め息を吐く平畠さんに、私は開いた口が塞がらなかった。