記憶のカケラ
再会

「みきちゃーん、おはよう!」

大学に入学してから、早いもので、2回目の夏が来た。

もう少しでテストが始まる。

だけど、私たちはその先の夏休みの計画で頭がいっぱいで。

テストなんてそっちのけだ。


「さち、おはよう!」

「あのね、あのね!昨日キョンちゃんといっぱい調べたんだー!」

浮かれているのは、友達の咲智。

ちなみにキョンちゃんってのは、
咲智の彼氏で、私の幼なじみ。

キョンちゃんこと恭一は、
生まれた時からの幼なじみで、
私が転校しても、文通とかメールのやり取りをしていた。


高校で再会して、意気投合して。

大学ではほとんど一緒に過ごしてる。


「おはよー」

「キョンちゃん!おはよー!」

恭一に恋愛感情はないのかってよく聞かれるけど、
恭一は私の命の恩人で。

恋愛よりも尊敬とか感謝とか、慕う気持ちのほうが大きい。


「あ、そういえば…みき」

「ん?」


ソワソワしながら、私に近づく恭一。

なにか言いにくいことがあるんだ。


「あぁ…いいや、また話す」

「へんなキョンちゃんー!」

「へんだよねー!」

笑ってる私たちをよそに、
どこか苦しそうに笑う恭一がいた。


「じゃあ俺行くわ。また昼に。」

「うん。ばいばーい」


去っていく恭一を2人で見送った。

何が言いたかったんだろ?


「恭一、おはよ!」


そこに恭一の友達らしき人が現れた。

「あれ誰?みきちゃん知ってる?」

「………」

「みきちゃん?」


顔とか、声とか、変わったのに。

すぐにわかった。

体が固まって、動けなかった。

手に汗をかいていた。


「あのひと、しってる」


恭一が振り返ったような、気がした。
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