好きです、お兄ちゃん



「ここここんばんは!」


震える顎に力を入れて、顔も上げずに叫んだ。

ああぁ。緊張する緊張する。

だって、


新しい家族との、初顔合わせなんだから。


「……何こいつ」

「あっはは、子犬みてぇ」


お義父さんの野太い声を覚悟していたら、何故か若い男児の声。

驚いて顔を上げた。


「………!?」


えーと、
お母さん、
お義父さん、
………………
……誰?

そこには、格好のよろしいお兄様方が二人。


「お、沙由ちゃんか。お前らの義妹だよ」


お義父さんが、品の良いテノールでお兄様方に話しかけた。

……義妹?


「お母さん!?」

「あはは、ごめんねぇ?あなたたちに秘密にして、びっくりさせようって康弘さんが」


大成功だねー、と手を合わせていちゃつくお母さんとお義父さん。

え、え?全く状況が掴めない。

確か、私がリビングに入って、お義父さんと挨拶をして、そのまま食事を頂くという予定だったはず。


「……親父」

「驚いたか?可愛いだろう」

「違くて。そういう大事なとこで悪戯すんなよ……」


はあ、と溜め息をつく手前の人は、頭をかきながら私を横目で見てきた。


「お母さん!」

「沙由、この子が修哉くんで、この子が蒼哉くんよ」


混乱する私に構わず紹介を始めるお母さん。

私が聞きたいのはそういうことじゃなくて……!


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