好きです、お兄ちゃん
「んー?沙由ちゃん起きないから、お義母さんが起こしてあげてって」
「は、はあ。起きませんでした?」
「いや?起こそうとしてないし」
はあ?
言っている意味が分からず、私は眉間にしわを寄せた。
「もうちょっと寝てれば完全遅刻だったのにねぇ、沙由ちゃん運良いわ」
ニコニコと微笑む蒼哉さん。
な、なんか……
「性格わる…」
「あ、俺も急がないと遅刻だ。じゃあね、先行ってるから」
私の声を掻き消して、すでに制服姿の蒼哉さんは、鞄を片手にひらひらと手を左右に振ってみせた。
「……あ!遅刻する!」
現実に引き戻された私は、急いで着替えて家を飛び出した。