好きです、お兄ちゃん
ぎりぎり学校に着くと、もうすぐHRが始まる時間だというのに昇降口前に人が集まり、何やら騒がしかった。
「沙由っ」
そんな群集を抜け出して私に近づいてきたのは、よく見知った顔。
「綾……これ、どうしたの?」
「なんかね、イケメン転校生が居るんだって」
「イケメン?」
あぁ、それでほとんどがお姉様方なわけか。
「えっと名前はぁ……」
「「蒼哉くぅううん!!」」
綾が名前を言おうとしたとき、甲高いお姉様方の声がそれを先に言ってしまった。
「…え……?」
そう、や?今蒼哉って言った?