19の夏~私の愛した殺人鬼~
「一人は見覚えがあった」
「誰だ?」
その言葉に、ネコはパソコンの横に無造作に置かれた紙切れを一枚取り、幸也の目の前に突き出した。
これは、昨日幸也が持ってきた今回の事件の資料だ。
「これは……」
その紙を手に取り、右上に貼り付けられた写真に目をやる。
もちろん、この写真も幸也が用意したものだ。
見覚えのある、髪の長い、背の低い女。
「殺された飯田昌代のイトコ。飯田紗耶香」
「そんな事わかってる! なんで、あの場所にいたんだ? 昨日は葬式があった日だぞ。
その日の夜に、どうして現場へ?」
次々に質問を浴びせる幸也にネコは耳を塞ぎ、眉間にシワを寄せた。