19の夏~私の愛した殺人鬼~
「ネコ?」
当然、紗耶香は疑問の色を浮かべている。
幸也はそんな紗耶香の疑問を無視し、すぐに本題へ入った。
「昨日は、どうしてあの場所にいたんだ?」
「あの場所って……現場よね?」
「そうだ。
夜中に行く必要があったのか? それこそ不審人物だ」
と、ネコは自分の事を棚に上げて人に詰め寄る。
紗耶香は少し困ったような表情を見せて、
「う~ん……」
と、うなり声を上げる。
素直に、お姉ちゃんの遺骨が語りかけてきたように思えて。
なんて言っても信じてくれないと思っているのだろう。
「どんな事でもいい、言ってみろ」
ネコが、黒い瞳で紗耶香を見つめる。