19の夏~私の愛した殺人鬼~

 その途端、さっきまでの涙はどこへやら、紗耶香は命一杯の笑顔を浮かべて、


「ありがとう!」

 と、幸也の首に両手をからめ、抱きついた。


「うわっ!」


 その拍子に幸也は前へとバランスを崩し、そのまま紗耶香に馬乗りになるように倒れ込んだ。


 しばしの、沈黙……。


 次の瞬間、紗耶香の悲鳴と、ネコの笑い声が同時に響き渡った――。



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