19の夏~私の愛した殺人鬼~
第6章
九流冬我25歳の、夏。
暑い暑いといいながらも、今のように狂ったような暑さではなく、貧乏でアエコンが買えなくても耐えられる暑さの日。
セミの鳴き声は激しいが、時折計ったかのようにピタリと静かになり、再び思い出したように一斉に鳴き始める。
そんなセミの鳴き声に耳を傾けながら、戸部奈々子は冬我の帰りを待っていた。
冬我より4つ年下の奈々子は、今日でちょうど21歳の誕生日を迎える。