19の夏~私の愛した殺人鬼~

 青年は、ペロッと舌を覗かせて風船ガムを膨らませ、パンッと小さく破裂し鼻の頭にへばりついたガムを、親指と人差し指でつまんで、また口へと持っていく。


 ウゲッ、見ていて気持ちが悪い。


 まるで小学生だ。


「ニュースで見ただけぇ……」


 藤堂は、沙耶香が精神的に落ち込んでいるのではないかと思い、他の生徒から何か情報を聞きたいと思ったが、タイミングが悪くチャイムが鳴り出した。


 昼休憩、終了だ。


 目の前にいた青年は、チャイムが鳴り始めると同時に教室の中へと姿を消した。
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