19の夏~私の愛した殺人鬼~
 梅雨のあけた夏は暑い。


 日影に隠れていようが日傘をさしていようが

アスファルトからの照り返しはいつも容赦なく突き刺さる。


 パソコン関係の専門学校に通う、飯田紗耶香(イイダ サヤカ)19歳は、長い黒髪をなびかせて足早に廊下を歩いていた。


 腰につくほど長い髪は艶があり、歩くたび軽やかに揺れて光を放つ。


 まるでチワワのように大きな目を持ち、長く上向きのマツゲが白い肌に浮いていた。


 桃色の頬は不健康なほど細い体をカバーし、健康的なイメージをまわりに植え付けている。


 明らかにまわりの目を引くほど美人な紗耶香が、急に表情をゆがめ、その場に立ち止まった。


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