19の夏~私の愛した殺人鬼~

☆☆☆

 町について、30分が経過した。


 トロトロと歩きながら目に入るのは、田んぼと山と川。時々、築三桁は行きそうな古い家。


 それも、人が暮らしているとは思えない荒れようだ。


 最後尾をついて歩きながら、沙耶香はポケットに手をつっこんだ。


「……あれ?」


 途端に歩みを止めて眉をよせる。


 その声に気付いた三人が同時に立ち止まり、振り向いた。


「どうした?」


 幸也が聞く。
< 203 / 356 >

この作品をシェア

pagetop