19の夏~私の愛した殺人鬼~
「ねぇ、待てよ。
それじゃぁあの携帯電話はやっぱり私たちをここへ導いてくれたのね? だとしたら、お姉ちゃんが……?」
その言葉にネコは軽く笑みをつくり、
「ま、そういう事かもな」
と頷いた。
「ねぇ、今お姉ちゃんの姿は見える?」
沙耶香が聞くと、ネコは呆れたような表情をして、
「人の言った事をもう忘れたのか?」
「……なんだっけ?」
「俺は霊の姿を見るためには、ある事をしなければならない。
普段は見えるんじゃなく、感じるだけだと言ったろ」
「あぁ……、そういえばそんな事聞いた気がする」
今日聞いたばかりの話だが、冬我の昔話しをききながら山越えをしたせいでコロッと忘れてしまっていた。