19の夏~私の愛した殺人鬼~
心配する沙耶香に、冬我はシッと人差し指を立てて合図し、へたくそにウインクしてみせた。
いいから黙って見てろ。
という事だろう。
視線をネコに戻したその瞬間……。
沙耶香は小さく息を飲み、両目を見開いた状態で両手で口を塞いだ。
幸也も唖然とした表情で言葉を失っている。
二人の心臓はドクンドクンと高鳴り、そのリズムで奇抜なダンスが踊れそうだった。
「なんだあれは……」
幸也がようやく発した言葉は、それだった――。