19の夏~私の愛した殺人鬼~
新田がそう言っても、藤堂は頷いただけで食べる速度を落とそうとはしない。
ジッとみていると、こっちは食欲を徐々になくしていきそうだ。
ゆっくりとタバコの煙を吐き出しながら、備え付けの小さなテレビに目をやる。
昨日まで昌代の殺人事件を頻繁に映していたニュース番組が、今はお笑い芸人の結婚式の模様ばかりを報道している。
そして、それをお茶の間で見ている主婦たちは、コロコロと変わる話題に乗り送れないようにと、必死で食らいつく。
新田は軽く舌打し、タバコをデスク押し付けたかと思うと、勢いよく立ち上がった。
ガタンッ!
という椅子の音で、藤堂が驚いたように箸を止めた。