19の夏~私の愛した殺人鬼~
「冗談じゃない。
写真はいつもあんたが持ち歩いてるじゃないか。カード入れの中に」
「なんだと!? 見やがったのか!」
「おっさんが置きっぱなしにしてるから偶然『見えた』んだよ」
「同じじゃね~かっ!!」
言い合いを始める二人に、幸也が慌てて「で、なんでその人がここに?」と、話題を戻した。
「おそらく、俺たちをここへ導いてきたのが戸部奈々子だろう」
「奈々子とこの場所は何の関係もないはずだ」
「戸部奈々子の魂事態がここに関係してるかどうかは、まだわからない」
そう言うと、ネコは閉じていた両目を開けた。
それと同時に、手の甲の目がスゥッと消えていく。