19の夏~私の愛した殺人鬼~

「どこにいくんだ」


 冬我がおいかけようとすると、「帰るんだよ。これ以上ここにいても仕方がない」


「待てよ、まだ何もつかめてないじゃないか」


 と、幸也がネコの肩を掴む。


 ネコは空を見上げ、「雨が降る。山道を歩いて戻るならモタモタしている暇はない」と言った。


 気付かなかったが、たしかに雲行きが怪しくなっている。


 雨が降る中で山道を歩けば、地盤が緩み、視界も遮られて危険だ。


「今日はもう帰って、戸部奈々子と飯田昌代の共通点を探そう」


 ネコの言うとおりだ。
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