19の夏~私の愛した殺人鬼~
☆☆☆

「こんなところで、どうしたんだ?」


 栗田が、沙耶香と他の見慣れない面々を見ながら、そう言った。


「私たちはちょっと用事があって……。

栗田君こそ、どうしたの?」


「あぁ。俺もちょっとした用事かな」


 そう言い、ヒョイと肩をすくめて見せる。


「雨が降る、長話は禁物だぞ」


 横からネコにそう言われて、沙耶香は『わかってる』と、視線で合図した。


「ごめん、これから歩いて山を越えなきゃならないの。

雨が降りそうだし、もう行かなきゃ」
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