19の夏~私の愛した殺人鬼~
「歩いて山を? どういうことだよ、何考えてんだ」
「それにも、ちょっと事情があるのよ」
「事情は知らないが、お前みたいな女が男三人とこんなド田舎にいる時点で、俺はどうかしてると思うけど?」
キツイ口調の栗田に、沙耶香が一瞬目を見開く。
長年一緒にいるが、栗田にこんな嫌味を言われたことは初めてだ。
『お前みたいな女』ですって?
何も知らないくせに、尻軽だとでも言いたそうなその表情。