19の夏~私の愛した殺人鬼~
だいたい、いつまでも私の気持ちに気付かないなんて、どこまで鈍感なのよ。
そうよ、あの星の夜のキス――正式には未遂だけど――あれはなんだったの!?
その後なんの連絡もしてこないで、偶然会ったら大層な嫌味を言われるなんて!
「怒るのはわかるよ、本当に僕が悪かった。だけど、歩いて山を越えるなんて無茶だ」
「ご心配どうも。でも大丈夫よ、ここまで山を越えて歩いてきたんだから」
栗田は呆れた顔をして、他の三人に視線を送った。