19の夏~私の愛した殺人鬼~
さっきまでの勢いをなくしてしまい、沙耶香から視線を外し灰色のアスファルトで視界を埋めた。
沙耶香が口を開きかけた瞬間、栗田が手を取って山とは逆に歩き始めた。
無理矢理ひきずられるようにして歩きながら、爽香が文句を言う。
「この子は俺が自分の車で家まで送り届ける」
栗田は幸也とネコにキツイ視線を送りながらそう言い放った。
「どうぞ、ご自由に」
ネコは何とも思っていない冷めた表情のまま、そう言ったのだった……。