19の夏~私の愛した殺人鬼~

 沙耶香が栗田に連れて行かれた後、幸也はため息を吐き出した。


 そんな幸也を見て、ネコと冬我がニヤニヤと口元をゆるめる。


 いやらしい笑いだ。


「ありゃぁ付き合ってるんじゃねぇのか?」


「飯田昌代の殺害現場で飯田沙耶香とキスをいていたのはあの男だ」


「ひょーっ! 熱々じゃねぇかっ!」


「残念だったな、彼氏もちじゃ手が出せないだろう」


 なんて、わざとらしく声を張り上げて言う。


「俺には関係ない」


 幸也強がりでそう言い、軽くした唇をかみ締めた――。
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