19の夏~私の愛した殺人鬼~
「……なに?」
「聞きたいことがある」
そう言いながら、栗田は車を路肩に止めた。
沙耶香は怪訝そうにマユを寄せて、首を傾げる。
その時、ポツリポツリとフロントガラスに雨粒が落ちてきた。
「あ……」
ネコの言ったとおりだ。
あの三人は大丈夫だろうか?
そんな思いがよぎる。
その瞬間……。
目の前の視界が真暗になった。
その代り、耳の近くで確かな鼓動が聞こえてくる。
トクントクンと、規則正しい心音。