19の夏~私の愛した殺人鬼~

「……なに?」


「聞きたいことがある」


 そう言いながら、栗田は車を路肩に止めた。


 沙耶香は怪訝そうにマユを寄せて、首を傾げる。


 その時、ポツリポツリとフロントガラスに雨粒が落ちてきた。


「あ……」


 ネコの言ったとおりだ。


あの三人は大丈夫だろうか?


 そんな思いがよぎる。


 その瞬間……。


 目の前の視界が真暗になった。


 その代り、耳の近くで確かな鼓動が聞こえてくる。


 トクントクンと、規則正しい心音。
< 236 / 356 >

この作品をシェア

pagetop