19の夏~私の愛した殺人鬼~
第9章
雨は昌代が働いていたキャバクラまで降り続いていた。
夕方になってから、東京全体が雨に変わった。
「収穫なしか」
新田はそう言うとイラついたようにガシガシと爪を立てて頭をかいた。
『未来』の入り口の前で、降りしきる雨を避けるように二人が立っている。
「新田さん」
後ろから藤堂が声をかける。
「何だよ」
「ガシガシかいてたらいつか禿げますよ?」
「――うっせぇなお前は!! 人がイラついてるのがわかんねぇのか!? えぇ!?」