19の夏~私の愛した殺人鬼~

「……オルフェウス?」


 ルカの口調が険しくなった。


 藤堂から身を離し、ベッドの上に胡坐をかく。


「ギリシア神話の神様が、事件と関係あるの?」


 いつものルカではない。


 あの、ヤル気のないようなネットリとした話方は、ただの演技だったのか。


 刺すような目で藤堂を見つめる。
< 270 / 356 >

この作品をシェア

pagetop