19の夏~私の愛した殺人鬼~
第10章
沙耶香が栗田のアパートでシャワーを借りているとき、栗田の携帯電話が鳴り出した。
黒い二つ折りの形携帯電話から、クラシック音楽が流れ出す。
その音は心に心地よく入り込み、栗田の気持ちを落ち着かせた。
着信画面にはよく知っている人物の名前が表示されている。
栗田はすぐには出ずに、しばらく目をつむってクラシック音楽に耳を傾けた後、ようやく電話をとった……。