19の夏~私の愛した殺人鬼~

 真っ白な頭の中で、できる限りの記憶を呼び覚ます。


 ルカに部屋まで通されたこと。


 ルカは、やけに人の体をベタベタを触り周り、媚薬をかがされたように体中が――。


 そこまで思い出すと同時に、藤堂は強く頭を振った。


逃げなければ!


 咄嗟にそう思うが、まだ微かに頭の中がフワフワと浮いているような感覚で、うまく立つことが出来ない。
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