19の夏~私の愛した殺人鬼~

 部屋の寒さで少し頭がハッキリして、事の異常さに身震いした。


服はどこだ!?


 脱衣所には、自分の服がどこにも見当たらない。


 スーツの中には警察手帳やサイフなども入っているというのに。


 慌てふためく自分を深呼吸してなんとか落ち着かせると、藤堂は脱衣所のドアを開き――。


 部屋の、目の前の光景に言葉を失った。


 口を半分開けたまま、後ろからルカの足音が聞こえるというのに動けない。
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