19の夏~私の愛した殺人鬼~

 ネコがそう言ったとき、聞き覚えのある元気な声が響いた。


「こんにちは」


 沙耶香だ。


 首にはまだくっきりとロープの痕がついているが、気丈に振舞っている。


 後ろから、藤堂も入ってきた。


「ケツの穴の治療はどうだ?」


 新田がニヤニヤとしながら藤堂へ向けてそう聞いた、その瞬間、さっきまで幸せそうに沙耶香を見ていた藤堂が、サッと青ざめた。


「けっ……結局なにもされてなかったんですよ!!」


 慌てて否定する藤堂に、笑いが起こる。
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