19の夏~私の愛した殺人鬼~

 昌代が、他の面々を見て、軽くおじぎをした。


 腕の中から沙耶香を離し、昌代が手の甲で涙をぬぐうと心の中にポッと火が灯ったように温かくなる。


「さようなら……」


 昌代の体が、フワリと浮かび上がる。


「お姉ちゃん、さようなら、ありがとう」


 沙耶香が元気よく、天へ上る昌代へ向けて、手をふった……。
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