19の夏~私の愛した殺人鬼~

☆☆☆

 そんな紗耶香の様子を見ている2人の影があった。


 葬式会場からほんの少し離れた場所で、白い軽に乗った2人組。


 その顔には見覚えがあった。


 幸也の父親である新田と、モヤシの藤堂だ。


「辛そうですね……」


 運転席の藤堂が、紗耶香の表情を見て心配そうにフロントガラスへ顔をへばりつける。


 まるで、好きな子を必死で目で追う小学生のようで、その感情はバレバレだ。


「見すぎだ」


 新田は、くわえていたタバコをふかし、藤堂の後ろ頭を軽く小突いた。


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