19の夏~私の愛した殺人鬼~


 ガラスにべったりと張り付いていた藤堂は、小突かれた拍子に鼻っ面を打ち付ける。


 隣でうめき声を上げる藤堂を無視し、新田はバックミラーへ視線を戻した。


 被害者の飯田昌代は、夕方6時から夜の12時近くまでキャバクラでアルバイトをしていた。


 客の中ではそこそこの人気があり、毎月ベスト5以内には必ず入っていたという。


 人気が出れば、やっかいな客も出てくるはずだ。


 思い込みの激しいストーカーだとか、ヤクザがらみだとか。


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