19の夏~私の愛した殺人鬼~
昌代本人に会えるのは、この式場で最後だ。
犯人がノコノコとやってくる可能性はないだろうが、
裏事情を知っている連中が来る可能性はある。
それを狙っているのだ。
しかし、さっきから会場の外と中を行き来しているのは身内ばかり。
あと数十分もすれば始まるというのに、それ以外の姿は見えなかった。
「夜の世界には友情なんてないんですかね」
赤くなった鼻をさすりながら、藤堂がそう呟いた。
新田はその言葉に、
「どうだろうなぁ」
と、タバコを灰皿に押し付けた。